蘭亭は料理人としてだけではない、人として・ビジネスマンとしての学びを与えてくれる
西植さんは入社から6年目に至る今まで、蘭亭でどのような経験を積んできましたか?
入社すぐ、茶屋町店で2番手のポジションをもらいました。前菜・板場・ホール業務を見ながら、店長の休みの日には代わりに鍋を振る…ということをしていました。幅広い業務を経験させてもらったあと、3年目に店長になり、そのまま店長として働いています。
店長になる前と店長になってからで、業務内容にはどのような変化がありましたか?
1年目は蘭亭のことを何もわからない状態からスタートしたので、すべてを吸収しようと必死でした。当時の目標は「店長に何もさせない」。とにかく店長の仕事を見て覚え、先回りして業務を片付けるよう意識していました。その努力もあってか、1年目が終わるころにはほぼすべての業務ができるようになっていました。
特に印象的だったのは、季節のメニュー・ランチ・日替わりメニューを考える業務でしょうか。さまざまな環境で経験を積んでいたものの、メニュー考案の経験はなかったので、新鮮でしたね。
現在はどのような業務を担当していますか?
今は、新人の調理技術の底上げを目的とした指導と、複数店舗の事業推進を行っています。加えて、セントラルキッチンも稼働し始めたのでその設計と、本部関係の事務仕事にも携わるようになりました。6年在籍していますが、毎年同じ仕事を繰り返しているわけではなく、蘭亭の拡大や新たなチャレンジに合わせて新しい仕事が降りてくる。常に新たな挑戦ができるのも、蘭亭の好きなところのひとつです。
6年の間に、独立しようと考えたタイミングはなかったのでしょうか。
ありました。実際に、5年目を終える少し前に、本部に独立しますという話をした日もあります。ですが、これから店舗数を本格的に増やしていくから力を貸してほしい、残ってほしいとお話をいただいたんですよね。
また、入社から5年の間に新しいスタッフが入社し、その子たちが育っていく様子を見るのも楽しみになっていたんです。そういうわけで、蘭亭に残って経験を積み続けることを選びました。
西植さんは、後輩を育成・輩出するのがお好きなんですか?
そうですね。蘭亭では育成をサポートしてくれる体制が整っているので、その環境の中で後輩を育てられるのがとても楽しくて。
たとえばホテルの場合、ステップアップのために決まったルートがあって、「ここを辿ればこの役職につけますよ」というキャリアパスが決まっています。もちろんその良さもあるのですが、私から見るとそれは“育成”ではなくてただ“レールに乗せられているだけ”。一方高級中華は「料理長のようになりたかったら死ぬほど努力せい」の世界です。育成環境はまったく整っておらず、ひたすら背中を見て学び、自己研鑽を続ける。
蘭亭は、そのどちらでもない独自の育成環境を持っています。まずは、社歴に関わらず、自分で考えながら動ける場所を整えてくれています。加えて、「こんな料理人・こんなビジネスマンになりたい」と思える環境も用意してくれているので、前向きに成長を目指していけるのだと思います。
たとえばどのような育成体制がありますか?
ここ2年ほど、月1回~2ヶ月に1回、本社でセミナーや料理研究が行われています。日々の教育は現場で先輩社員が後輩に対して指導していますが、本社での研修では、仕事に対するマインド、理想の自分と現在の自分のギャップを埋める方法…そんな内容を学んでいきます。
一般的に料理人は、「とにかく現場で料理のスキルをつけろ」と言われるものです。ですが蘭亭では、料理のスキルだけでなく、人として、ビジネスマンとしてのマインドを学ぶ機会を作ってくれている。飲食業界においてはとても珍しい会社だと思いますね。
西植さん自身が、後輩の育成において心掛けていることはありますか?
すべてにおいて自分の責任として考える、を一番大切にしています。何かトラブルが起きた時、誰かのせい、物のせいにしたくなる瞬間は誰にでもあると思います。でもすべて一度自分の責任を考えてみると、改善すべき点が見えてくる。それを後輩にも伝えています。
また、伝え方も大切にしています。ミスが起きるとどうしても怒りたくなってしまいますが、そうではなく、“正しく伝わる伝え方を考える”ようにしています。